年長者の尊厳を意識したケアを

介護士の利用者への接し方でよくある問題として、親しみやすさを意識するあまり、フランクになりすぎてしまう事例が挙げられます。具体的には、タメ口を聞いてしまったり、利用者を子ども扱いするような口をきいてしまったりするケースです。

フランクに話しかけることで互いの仲が深まる場合もありますが、利用者によっては不快な気持ちになる人もいます。若い介護士にタメ口をきかれることや子供扱いされることで、年長者としての尊厳を傷つけられたと感じることもあるからです。それが原因で、介護士に対して不信感を抱くケースは少なくないようです。

この問題の改善するには、まず利用者の尊厳を守る意識を持つことが大切です。肉体的能力が衰えてしまった人、認知症によって判断能力が低下してしまった人など、施設には色々な状況の人が集まります。どんな状況であったとしても、すべての人が人間として尊重される権利があります。利用者がどんな状況にあったとしても、一人の人間として、あるいは人生の先輩として尊敬の念を常に抱くことが大切なのです。

「介護をしてあげている」という考えがどこかにあると、タメ口になったり、子供扱いをすることにつながります。お世話をさせていただいているという謙虚な気持ちを忘れないようにすることが大事なポイントです。そのような気持ちで行うケアは利用者にも伝わるでしょう。

自分を人間として大事に扱い、丁寧にお世話をしてくれる介護士には、誰もが心を開くものです。そうした心がけで信頼関係を築くことができれば、ケアがしやすくなるだけでなく、毎日の仕事もさらにやりがいを感じられるでしょう。